耳をすますナツメグ

だれもみてない、ほら、いまのうち

履きたくない、されど履きたいスニーカー

今日、新しく買ったスニーカーで出かけた。夫に撮ってもらった写真を帰宅後にみると、やっぱりかわいい。かわいいとは、好きなディティールをもった好きなデザイン、好きな色、ということだ。白い合皮で、ゴールドのジップがついている。他には色や装飾がない。かわいいし、わたしの服とわたしのセルフイメージにしっくりきていると感じる。

 

スニーカー遍歴

1.NIKE プリモントリオール

スニーカーには数年悩まされてきた。社会人になってからはきれいめフェミニンな服を通していたが、そこへ訪れたスニーカーブーム。もともとヒールは苦手だし必要ともされない職業なので、楽になりたい一心でスニーカーを買った。ナイキのプリモントリオール、グレー。

そのころ大好きだったアナトリエでセレクトされていたのだ。新作が出るたびチェックして、ほとんどそこでしか服買わない状態になっていたアナトリエで。店員さんのスナップを毎晩見て、自分の好きな雰囲気の服に合うだろうと思って買ったらやっぱり正解だった。

同じ「ヒールがない靴」という分類とはいえ、パンプスとは格段に違う歩きやすさにおどろいた。一歩踏み出すたびに足の裏の大地がはげますように押し上げて、サポートしてくれる気がした。どこまでも歩いて行けると思った。さすがオリンピック選手の足を包むために開発された靴だ。

 

2.ピンクのナイキ

数年履き続け、グレーのプリモントリオール氏はくたびれてきた。アッパーは汚れでくすみ、スエードの素材がけばだっていた。足を入れたときの感覚も当初と比べてどことなく緩んだ感じがした。そしてアナトリエはブランド終了を発表した。

そのころわたしは妊娠していた。しかもコロナ禍で、お出かけや出勤も減り、パンプスを履く機会はほとんどなくなっていた。新しいスニーカーの買い時だと感じ、夜な夜なネットサーフィンをした。だけど頼りにしていたアナトリエはもうない。どんなスニーカーを買えばいいのかわからない。そのときのわたしにはパンプスやローファーのかわいさを判断することはできても、スニーカーのかわいさを判断するのは難しかった。

だいたいスニーカーとはスポーティなアイテムなので、わたしの好きなディティールを持っていないことが多い。でもそんなことに気づかず、自分が靴に求めているのが何かも知らず、やみくもに探した。とにかく履き心地はまちがいないだろうと、プリモントリオール氏と同様にナイキで絞った。前回と同様、フェミニンテイストの服を扱っているオンラインサイトでセレクトしているものの方がいいだろうと、マッシュ系列のemmiというブランドで取り扱っているスニーカーを見繕った。とにかく色は好きな色を選んだ。ベージュとピンクの組み合わせられたデザインのスニーカーだ。

産休に入るころ、友だちとの会合のために意気揚々と履いて出かけ、「スニーカーかわいいね!」と言われてにんまりした。アカチャンが生まれたらこれを履いてたくさんお出かけしよう、と思った。

 

3.さっと履けるスニーカー

ある日家族で訪れたショッピングモールのABC-MARTで、この靴を見つけた。

ナイキの靴は靴紐を結ぶのが面倒だと感じていたため、靴紐の部分が最初からゴムになっていて、わざわざゴムの靴紐に入れ替えなくてもスポッと履けるのがものすごく便利そうだ。毎日の保育園送迎とご近所公園など、自分の支度に手間をかけたくないときにさっと履くのにぴったりの靴だと思った。さっそくネットで半額になっているのを探してポチった。

それからというもの毎日のようにお世話になっているが、このスニーカーがかわいいのかどうかは良く分からない。かわいいというのが、好きなディティールをもった好きなデザイン、好きな色、ということだとすれば、好きな色ではある。手持ちの服にも合う色だと思うし。そう思ったので買った。だけど汚れたり踏まれたり砂だらけになってもいい、実用のための靴だと今では感じている。街中や遠出をするお出かけの際は別の靴を選ぶ。

 

スニーカーに対する葛藤

最近、おしゃれとしてスニーカーを履くのなら、わたしの場合は革とかきれいめな素材にするか、甲の部分に切り替えがなくシュッと見えるデザインの方がしっくりくるのかもしれないなあと思うようになった。そういえば、最初に買ったプリモントリオール氏もアッパーに切り替えがないタイプだった。

ディティールに関しても、紐とかカラーの切り替えとか履くときに引っ張るためのつまみ(?)とか、スポーティなディティールのあるものがわたしは似合わない。似合わないので好きだと思えない。学生時代に体育の成績がずっと悪かったことや、ダンスをすると笑われるくらい動きがなんかどんくさいことが関係しているのだろうか。とにかく、スニーカーはそれ自体がスポーティなアイテムだ。それなのにわたしはそれを履きたい。このジレンマ。

悩みつづけて、夜な夜なさまざまなワードでさまざまなオンラインストアの検索を繰り返した。いっそスニーカーは実用の靴だけと割り切ってしまえばいいのではないか?と考えたこともあった。でも、今のわたしにはバッチリおしゃれして決めていきたいというシーンがほとんどなく、結局毎日「そこまで気に入ってない、汚れてもいい靴」を履き続けることになってしまう。それよりも、日常のファッションにちょっとときめきが欲しいな~という気持ちを抑えられなかったのです。

そんなある夜のこと、突然頭の中にひらめきがおりてきた。ジッパーだ。靴に金属がついていればいいのだ。足元にきらっと光ってわたしの心を満足させ、スポーティな要素を減らしてくれるのに、スニーカーと比較的相性がよい。しかも着脱も楽。これだ。
さっそく検索窓に「ジッパー スニーカー」と打ち込んでみつけたのが本日のスニーカーである。

心配だったのが長時間履いて疲れないかということだったけれど、大きめの公園に行って13キロの人間を抱っこしたりなどして2~3時間ウロウロしたのに足は全然痛くなかった。これならおそらく今後も大丈夫であろう。旅行とかいろいろ!これからもお世話になる所存である。どうぞよろしく頼みますよ。