耳をすますナツメグ

だれもみてない、ほら、いまのうち

読書

好きな装丁の本をダラダラ語る会

電車に乗らなくなってから文庫にこだわらず単行本をえいやっと買えるようになってきたのですが、単行本の表紙って見た目から手ざわりまで素敵なものが多くて惚れ惚れしますよね~。装丁界隈にはイラストにも印刷にもくわしくはないのですが、たとえどんな内…

2024年12月に読んだ本とか

あけましておめでとうございます。今年もぼちぼちと読んだ本の感想を書いていきたいなと思います。 最近だれにも頼まれてないのに一生懸命ブログに感想書いたりして、わたしって何なんだろうと思うこともあるけど、これが好きでやってることだからしかたない…

『異常(アノマリー)』エルヴェ・ル・テリエ

※以下、ネタバレ感想 Amazon書影には載っていないけれど、帯には「あらすじ検索禁止」とでかでかと書いてあります。 異常【アノマリー】 (ハヤカワepi文庫) 作者:エルヴェ ル テリエ 早川書房 Amazon 思った以上にミステリーだったのだが、何が起こっている…

2024年11月に読んだ本

読んだ本 『救出の距離』サマンタ・シュウェブリン 『その子どもはなぜ、おかゆの中で煮えているのか』アグラヤ・ヴェテラニー 『原野の館』ダフネ・デュ・モーリア 『現代ゴシック小説の書き方』ブライアン・エヴンソン 『翻訳をジェンダーする』古川弘子 …

34歳、絵本とのふれあい

今週のお題「絵本」 ずっと書きたかった絵本の記録。だけど、子どもの感想は結局子どもの感想なのであり、わたしの感想ではないので何を書いたらいいのやらむずかしく、なんだかんだで「子どものおかげで自分では選ばなかった絵本を読んだ34歳わたしの感想」…

2024年10月に読んだ本とか

今月のようす 突然Duolingoというアプリにハマり、隙間時間にちまちまやっていました。きっかけははてなブログで購読してる旅好きの方がduolingoで好きな国の言語を学んでるというのを読んだことだったけど、わたし自身は直近で海外旅行の予定もなければ、仕…

2024年9月に読んだ本とか

もし初対面で読書好きの人と話す機会があったとして、「どんな本読むんですか?」よりも「積読ってしますか?」と聞きたいと思ってしまう今日この頃。 というのも今月読んだ『三人の逞しい女』、ふと奥付けを見たら2019年初版のものを買っていて、刊行すぐ買…

最近の日記(2024年9月)

これからおもむろに日記を書いていきます。 月曜日 朝起きて、坊やがどこからともなく特急ラピートのプラレール列車を出してきた。こんなん持ってたっけ…?と思ったら、とうちゃんが親戚のおっちゃんとこから貰ってきて、とっておきの時に出そうと隠してたの…

2024年8月に読んだ本とか

最近のようす 夏休みは沖縄に行って海を堪能していました〜。わたしはアウトドア苦手そうないでたちをしており、夫にすら意外と言われるけど海は好きです。山と違って何も達成しなくても楽しめる自然。仕事量も落ち着いていたしゆったりした気持ちで過ごせた…

コルセットと支配~『ピクニック・アット・ハンギングロック』と、気になっていること

あじさいが咲くバレンタインの日、少女たちがカードを交換してきゃっきゃしている冒頭の数ページの描写でもう心を奪われる…。これはオーストラリアの話なんですね。たしかに、物語の舞台になるのが闇深い森とか静けき湖とかでなく、巨大な岩だというのがオー…

2024年7月に読んだ本とか

最近のようす 何気なく本買ったらしおりが貰えて夏を感じる7月。 今年もらったしおり ↓発掘された過去のキュンタたち 関係ないけど手持ちのしおり(海外の美術館かどこかで買った古代猫・鉄オタ3歳児にうらやましがられる阪急電車グッズ) しおりコレクショ…

『いなくなくならなくならないで』向坂くじら

死んだと思ってた10代の頃の親友が、社会人になった今突然目の前に幽霊(?)となって現れたら…… いなくなくならなくならないで 作者:向坂くじら 河出書房新社 Amazon 切り離したいけど愛おしみたい10代の自分、カッコつけて綺麗なままで結晶のように閉じ込…

映画『シャーリイ』 〜わたしがシャーリイ・ジャクスンに惹かれる理由

念願の『シャーリイ』をみてきた。本国では2020に公開されたらしいのだけど、わたし個人としては何年か前に『ずっとお城で暮らしてる』を読んで以来、数年かけてじわじわとシャーリイ・ジャクスンにはまりつつあるので今公開してくれて本当にうれしい。 yout…

2024年6月に読んだ本とか

続きと始まり/優しい暴力の時代/ファッション!/虎に翼

シャーリィ・ジャクスン『日時計』- 不安定な人びと、黒いユーモア

期待にたがわぬおもしろさ………。これまで読んできたジャクスン長編(『鳥の巣』、『丘の屋敷』、『ずっとお城で暮らしてる』)はどちらかといえば少人数の閉鎖空間という感じだったが、これは珍しく人数の多い群像劇。だけどもしかして『ずっとお城で暮らして…

2024年5月に読んだ本とか

私をくいとめて/プラナリア/なぎさ/フリアとシナリオライター/四季GCS

2024年4月頃に読んだ本とか

4月もなんだか生活と体調と仕事がばたばたしていてあんまり本を読む気分にならず、GWに入ってから短編やエッセイを読んでゆるゆると読書モードをオンにしていった感じ。 だがそれにしては、実は人生ベスト級によい本に出会えたという感触、積んでいた本を解…

2024年3月に読んだ本

月末にドドドーとやってきた仕事と体調不良が生活を浸食し、本を読むための精神の余白が失われた月だった。夜中に本棚の前にいたら、ふと買ったまま積んでいたヒエロニムス・ボスの画集の存在を思い出し、思いのほかじっくり見てしまう。そうそう、わけのわ…

2024年2月に読んだ本とか

最近のようす 今年は去っていった2月を惜しむ気持ちよりも、冬の終わりが見えてきたことを喜ばしく思う気持ちのほうが強い。生活リズムも、服装も、行く場所も、同じことをローテーションして繰り返しているような冬だった。持っている中でいちばんあたたか…

2024年1月に読んだ本とか

最近のようす お正月休みが終わって仕事が始まったとたん読書がはかどらなくなり、風邪をひいた。身体に悪い労働。でも休み中うじうじ悩んでいたことがスッキリしたので「やることがある」ということそのものは、わたしにとってはいいのかもしれない。 1月中…

2023年11〜12月に読んだ本とか(1)~現代編~

まだ昨年の話をしていきます。 最近のようす 人は何を考えて買い物をしているかという本 文學界 2021年8月号 岸本葉子『「捨てなきゃ」と言いながら買っている』 キーボードなんて何でもいいと思ってた 最高のおうちオフィスではたらく ~快適なリモートワー…

2023年11〜12月に読んだ本とか(2)~ソ連編~

先月までに読んだ本についてダラダラ書く会、長くなったので続きです。 横手慎二『スターリン 「非道の独裁者」の実像』 リュドミラ・ウリツカヤ『緑の天幕』 黒川祐次『物語 ウクライナの歴史 ヨーロッパ最後の大国』 横手慎二『スターリン 「非道の独裁者…

2023年9〜10月に読んだ本とか

この2ヶ月はしょうもない悩み事&検索に時間を溶かしていて(人生に関わったり心が重くなるような種のものでは全然ありません、念のため)、全然本を読んでなかった……。なんかそんなタイミングでした。この隔月の記事もスキップしようかな〜とも思ったけど…

わたしを不安定にしたのは誰? ~ シャーリィ・ジャクスン『鳥の巣』

信じられないくらい面白い。久しぶりに睡眠時間を削りぎみにして夜な夜な読みふけった。 「多重人格もの」の先駆なのだというのは帯文や訳者解説でも分かっていて、その点は承知した状態で読み始めた。ただしここでフォーカスされているのは、主人公の精神的…

2023年7〜8月に読んだ本とか

最近のようす やっと夏が終わりつつありますね。まあまだあと1ヶ月は半袖で過ごしてるんでしょうが… 8月は世間がお盆のなか田舎の親戚家からとんぼ返りしたと思ったら、めずらしくも夜中まで仕事することになり「わたし何やってんだろ…」と思っていたらその…

時代に殺された女の子~マギー・オファーレル『ルクレツィアの肖像』

『ハムネット』を読んで芽生えた著者への信頼(この作者の別の作品も読んでみたい!という)、そしてまたしても好みの題材(わたしは16世紀なかばぐらいの宮廷ものって興味があって好きなんですね~)。絶対読みたいと思って楽しみにしていた本が予想以上に…

2023年5~6月に読んだ本とか

最近のようす 2つ前の記事で本棚を買ったことを堂々と書いていたら、はてなブログのトップページに載せていただいて、たいそうはしゃぎました。その数日前、はてなブログのTwitterスペースでおすすめ記事の選びかたの話を聴いていたので余計にうれしかった…

人生が空間へ変貌する場所~オルハン・パムク『無垢の博物館』

大昔、片思いをしていたときのことを思い出した。それは恋愛というよりは執着で、そしてもしかするとたしかに、収集心でもあったかもしれない。毎日その相手にあうたびにあったどんな小さな出来事さえも大事に胸にしまって家に帰り、日記に書き留めては見返…

2023年4月に読んだ本とか

綿矢 りさ『手のひらの京』 手のひらの京 (新潮文庫) 作者:りさ, 綿矢 新潮社 Amazon 三姉妹の話である。京都に複雑な感情を抱える末っ子凛とは、また別の面から京都で生きる人間のたくましさ、ささやかな幸福がバランスよく語られ、飽きのこない構成。個人…

2023年3月に読んだ本とか

今月読んだ本は5冊…というか、ずっとちびちび並行して読んでいた本の読了がたまたま重なったという月。『ハムネット』が大変な良作だったのですが途中からものすごく苦しくなり(退屈だったという意味では決してなく)、並行していろんな人のエッセイや新書…