耳をすますナツメグ

だれもみてない、ほら、いまのうち

2021年10〜12月に読んだ本

なんだかんだ少しずつでも読書時間を取れているつもりだけど、11月は全然本を読んでいなかったので、まとめは3か月分。

読書していなかった理由は、育児がめちゃくちゃ多忙だったから…というわけではない。
10年ぶりに発売された「ときめきメモリアル Girl's Side」の新作をやっていたら、最初にプレイした七ツ森くんにハマってしまい、全部のエンディングをクリアしなければ気が済まない気持ちになったからである。(なお、わたしはゲームが下手くそすぎて、何回もやり直したのにエンディングは全然回収できてない。)

七ツ森くんは、学校では地味な風貌で過ごしているが、学外ではファッションモデルをやっている。最初はそういうちょっとチャラついた男子なのかと思いきや、意外にも繊細な内面を抱えていて、でもそれを自分できちんと克服しようという精神面のしなやかさがある。そして恋愛には積極的なのだけれど、すごくピュアなどきどきを味わわせてくれるところも「ときメモ」っぽくて良い。

 

北村紗衣『批評の教室 ーーチョウのように読み、ハチのように書く』

批評の書き方を学ぶ、というと文学部の学生などを想定しそうになるが、趣味で本とか映画の感想を書いている(自分のような)ネットユーザーにも有用な本。
「受け手が主体的に楽しむ手段として、"批評"をおすすめしますよ〜」というスタンスを一貫して取っているから、感想文から一歩踏み込んだ批評を書いてみたら楽しそうだなあとポジティブに思える。文章は平易かつ親切でちょっとしたユーモアも交えていて親しみやすい。作品に多く当たりましょうとか、テーマを一つに絞るとかはちょっと耳の痛い話だが…(これがなかなかできる人がいないからこそ、プロの批評家という職業が成立しているのだろう)。


シーグリッド・ヌーネス『友だち』

小説家である最愛の友人を亡くし、彼の飼っていた巨大な犬を、その悲しみごと引き受けることになった、自身も文筆家である女性の思索と回顧。古今の多数の文学を引用し、まさに現代の書き手が直面する(あるいは向き合いきれずにいる)問題に思いをめぐらせる。
ポップで鮮やかな色合いの装画に惹かれて手に取ったが、タイトルから想像する内容と随分違っていたので少し驚いたほど。
犬と人との単純な物語ではなくて、悲しみを抱えて生きることや、さまざまな言葉が響きあって成される、人間の精神というものの複雑さを感じながら読んだ。

 

ジョージ・エリオット『ミドルマーチ』 1〜3

全4巻あるうち、今4巻の途中を読んでいるところ。久々に面白すぎて睡眠時間を削ってしまいそうになった。続きが気になるけど読み終わるのも寂しいという稀有な本。
ドルマーチという19世紀英国のとある田舎町を舞台に、複数の主要登場人物たちの関係が複雑に絡み合い移り変わる、筋書きの面白さと完成度がそもそも高い上、とにかく細部の描写の切れ味がすごい。夫婦喧嘩中のリアルすぎる心理状態の移りかわりには痛いほどに共感するし、奇妙な成り行きで惹かれあっているのに結ばれないふたりの胸の内が克明に描かれるので、こちらまでやきもきする。
訳者による巻末解説も興味深く、ドロシアとリドゲイトというキャラクターが根底では繋がっている対照的な関係にあることに気付かされた。もしこのふたりが結婚していたら…、いやそもそもそれはあり得たことだったのか等、想像をめぐらすのも楽しい。

 

▼この期間に観たミュージカル、映画、美術展

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今後は読んだ本の感想をまとめずにその都度ブログに書いてみるか、それともまとめを別の形にしてみるか、今までどおり書けるタイミングでまとめるか、ちょっと悩み中。

ただ、振り返りの時間が自分のために一種の「癒し」になっているのは確かなので、読む量が少なくなっても細々とは続けていきます。今年もよろしくお願いします。