耳をすますナツメグ

だれもみてない、ほら、いまのうち

おうち時間

ご存じの通り最近はほとんど家にいる。もともと休日は放っておくといくらでも家にいてしまう人間なので、無理やり外食の予定を入れたり、観たいミュージカルや映画は前々からチケットを買っておいたり、本はなるべく本屋で買うルールをつくったり、長期休暇は旅行の予定を入れるように心がけていたのだが、まさか世界が外に出ることを許さなくなる日がこようとは。

家ですることといえばまず読書。なのだが、今月はまだ一冊も読了していない。なぜなら久しぶりにゲームにめちゃくちゃハマっているからだ。ニンテンドースイッチ ポケットモンスターシールド版と、スマホどうぶつの森である。

どうぶつの森

スマホどうぶつの森は、三月の終わりごろ、仕事で関わっているプロジェクトにトラブルが多発し、楽しみにしていた観劇の予定も消え、なげやりな気持ちで休日を迎えていたときに始めた。ちょうどニンテンドースイッチどうぶつの森が発売され、ツイッターを見るとなんかみんなやってるな……ということを感じていたころ。しかし大学生のときにDSどうぶつの森をやってみて「なにがおもろいねん」と思って一日でやめてからというもの手をつけたことのなかったゲームだった。

ところがどうでしょう。とりあえず無料だし流行ってるからやってみるか、スマホゲームっていつも一日やって飽きるけど無料やしな、と軽い気持ちではじめたが最後、ちいさくてかわいいどうぶつたちの発する「おねがい」をかなえてあげるだけでめちゃくちゃ感謝される。それも、りんごが欲しいとかさかなが欲しいみたいなかわいい「おねがい」なのだ。「ピロピロピロピロ」みたいな声だけどちゃんと日本語のイントネーションで名前を呼び掛けてくれて、しゃべっている感じが出ているのもかわいい。社会の荒波にもまれ、一生懸命工夫して自分をすりへらして働いても、当たり前のことを当たり前にこなしているだけでは「ありがとう」なんて言ってもらえなくなった大人の心に沁みるゲームである。そうか、みんなつかれていたんだな。

ポケットモンスター

そんな折、夫がニンテンドースイッチポケモンを買った。三十路の我々の知っているポケモン(それはゲームボーイの初代赤・緑のポケモンである)とは違い、今や1ソフトでも複数ユーザーのデータが保存できてしまう時代。その昔、弟のポケモンを勝手に「さいしょからはじめる」にして保存してしまい、大あばれの大げんかになった日々がなつかしい。

そして大型液晶テレビでのプレイにも耐えうるアニメ映画のような美しいグラフィック、重要なシーンではキャラクタの顔をアップにしたり、落ち込む少年を表現するためにわざと斜め後ろからのカットを入れたり、未来を期待させるオープニングシーンの終わりでは空にパンしたり、アニメーションがめちゃくちゃ凝っていることに驚く。

ポケモンを育てるにしても、今どきはたたかって相手を倒すだけではない。ポケモンを捕まえてもレベルが上がるし、にんげんとポケモンがボール投げやネコジャラシのようなおもちゃでたわむれているだけでも経験値がどんどん貯まり、レベルが上がっていく。

そのほかにもプレイヤーの服をきせかえたりメイクをしたりする要素まであり、20代前半の頃「わがままファッション ガールズモード」のプレイ時間が500時間を超えていたわたしは、もはやポケモンのことを忘れてオシャレのための金策にいそしみたくなってくる。

とにかく新しいゲームの中でやることがたくさんあり、早くストーリーも進めたいのにポケモンも捕まえたい、服も集めたい、カレーもつくりたい(カレーもつくれる)、というわけで他のことをする時間すらないのである。

 

お題「#おうち時間