耳をすますナツメグ

だれもみてない、ほら、いまのうち

それはただのノートではありません

 学生のときのように秋口から来年の手帳のことを考えてワクワクする暇はなくなったものの、やはり年が改まって新しい手帳を下ろすときは気分が高まる。自分のためだけに使えていた時間を加工して売るようになっても、相変わらず、とりとめもなく紙にものを書きたくなる衝動は前触れもなく襲ってくる。スマホのメモを入力することで御することのできる欲望なら良いのだが、内容が浮かぶよりも先にただペン先が紙の上を滑る感覚だけを指先が求めているときには、手っ取り早く机の上にあるノートをたぐり寄せたくなる。

 

 そんなわけで、今年の私の手帳はこんな感じで使おうと思っています。

 

 

1.一日一ページEdit(B6)

 

ロフトや各雑貨店でも取り扱いの多いマークスのいまや主力商品となったEdit手帳。一日一ページの市場ではほぼ日手帳と人気を二分しているらしい。大学時代からマークスのウィークリー手帳を愛用している身としては、日記を書きたいのならEdit一択という感じ。

 

私はポール&ジョーの表紙に釣られて2017年からEditを導入しているが、月に一度、前述の「紙に文字を書きたい」衝動が襲ってくるときに活用するくらいで、大量のページが無駄になっていることに10月ごろ気づき、以下ルールを設定した。

 

ルール①「毎日開くだけでも開く」

ルール②「書かなかった日の分は日付をシールで隠し、別の日に書いてもいいことにする」

 

これにより、最後の三か月分くらいは充実した内容にすることができた。2018年も一日一ページの手帳を継続するかは迷ったのだけど、このルールを一年間維持できた場合にどんなノートが出来上がるのか知りたかったため、延長してみることにした。

 

内容は、会社であったことや 恋人との間であった面白い会話、ミュージカルや映画やドラマやフィギュアスケートや美術展の感想、 今読んでいる本の登場人物相関図、テレビで知った歴史ネタのメモ、新しく知ったドイツ語の単語、今後やりたいこと、などなど何でも。 他人からすればかなりどうでも良いのだろうが、そうした細部こそが実は人生の本質でもあると思う。

 

 

2.仕事用ウィークリー(マークス・レフト式・B6)

 

去年まで仕事用ウィークリー手帳は100円均一のレフト式のものを使っていた。今年はマークスで出た手帳の表紙があまりにかわいかったので切り替えたのだが、紙質のなめらかさや丈夫な製本に感動する(とはいえ百均の荒い紙も、ボールペンでガシガシ書ける感じが気に入ってはいたのだが)。

 

【左ページの週カレンダーの使い方】

仕事でタスクが発生した時点で当日日付の欄にメモをし、完了次第ボールペンでぐりぐりと線を引いて消していく。当日中に終わらなかったタスクは、退勤前にやろうと思っている別の日の欄に転記すれば忘れることはない。

右側のメモページは会議やチーム内での問題提起により発生した課題をメモし、これも終わり次第線を引いて消す。

内勤のため、外部の人間と会うことはほとんどないが、出席の必要がある会議の時間だけは、週ページの右側1/3を区切ってメモしている。

 

【右ページのメモスペースの使い方】

会議やチーム内での問題提起により発生した課題は右半分のメモページにメモし、これも終わり次第線を引いて消す。

 

最近の悩み事は自分以外のメンバーのタスク管理が手帳一冊では困難なこと。自分のタスクと自分が管理するメンバーのタスクの締切日が一緒とは限らないし、全てが週次単位で解決できるとも限らない。どの業務がどれだけ進んでいるのか遅れているのか、どんな問題を抱えているのか、メモしないと忘れてしまうが上手にメモしなければ散逸してしまう。このあたりは、上司のやり方を観察していても紙の手帳の限界を感じる。大人しくエクセル管理かなあ。

 

 

3.持ち歩き用マンスリー(キャンドゥ・A6)

 

観劇を趣味としていると、半年先まで休日の予定が埋まっていることがよくある。上述の1は家に、2は職場に置きっぱなしにしているので、友人と出かけた先で次回の会合に誘われたり、ネイルサロンで次回予約を入れる際に予定が分からないと困ることになる。

しかし、過去B6マンスリー手帳を使っていたときにすら、私はどうしても手帳を持ち歩く癖がつかなかった。文庫本は持ち歩くくせに薄っぺらいマンスリー手帳は鞄に入れるのが億劫なのである。理由はただ大きすぎるから。そこで、文庫本やiPhoneとほぼ同じサイズのA6を今年は導入することにした。

 

 

4.無印方眼ノート

 

これは番外編なのだが、ちょっと「バレットジャーナル」で検索してみてほしい。既に有名なのかもしれないが、方眼ノートに自分でいくらでも可愛くて使いやすくて自分好みのフォーマットを作り出せるという、ワクワクする文房具活用法なのだ。ネット上にはいくらでもお洒落なバレットジャーナルのアイデアが転がっていて、それを眺めているだけでも楽しいし、自分でもやってみたいと思えてくる(日本語のバレットジャーナルでは、インスタグラムアカウント@wakibunguさんが可愛くてよくチェックしている)。

そんなわけで私も実行しているのだけど、さすがに毎日フォーマットを創出するのは私の凡庸なクリエイティビティでは困難なので、今のところ以下の4点に絞って使用することにしている。

 

・毎日の洋服の記録(簡単なイラスト)

・睡眠時間の棒グラフ

・カフェイン摂取の有無と時間ログ

・オフィスまで階段で通勤できたかのチェックシート

 

要は、自分が大切にしている「肉体の健康」「生きることのモチベーション」が低下したとき、「現状把握」「原因究明」に役立てればよいという考えのもとに書いているもの。たとえば、私の場合、モチベーションが低いと服の色が暗くなりがちであるとか。ほかにも、睡眠時間の減少は翌日以降の心身の状態に如実な影響を与える。なお、残業や飲み会で帰宅が深夜になったなどの外部要因のほか、うっかり夕方17時以降にカフェインを摂った場合も寝つきが悪くなるため、睡眠時間グラフとともに記録することにしている。

 

当初憧れて始めた世間のバレットジャーナルとは全く趣を異にした、他人には見せられたものではないオシャレ感のなさではあるものの、そもそもずぼらな性格の私が記録を継続するためには、オシャレ感をあきらめざるを得なかった。

 

 

それにしても、ノートに印刷された罫線の組み合わせとは、どうしてこんなにも魅力的なのだろうか。それはその線の組み合わせが、わたしたちの持っている余白の時間を可視化させてくれるからだろう。あなたにはこんなにもたくさん時間がありますよ、どう使ってどう生きるか、それはあなたの自由なのですよ。そう呼びかけてくれるような気がするから、白紙の手帳を初めてめくるその瞬間は、いくつになっても気分を高揚させてくれるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

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