耳をすますナツメグ

だれもみてない、ほら、いまのうち

かあちゃんとはでべそになるもの

産休に入った。なんだか毎日ぼーっとしている。考えてみれば22歳のときに会社に所属しはじめてから転職もしていないので、1ヶ月もまるまる自由にしていい時間があるなんて初めてのことだ。大学生の夏休みみたい。

だけど実際には身は重く、頭はぼんやりとして、集中力は途切れ、水を飲んだだけなのにげっぷが止めどなく、何もしてないのに息切れ、昼間は気づけばソファで眠っているのに、夜は眠ろうとする度トイレに行きたくなって寝付けない。出かけたくてもどこに行っても人が多いと思うとためらいを感じる。まあ、わたしの場合はコロナがなくても身体が重いことを理由にして家でうだうだしていたかもという気もするけど…

3月に仕事の引継ぎを終えて、伝わるんだか伝わらないんだか分からないマニュアル資料を残し、職場を放り出した。もう仕事のことを考えなくてもいいんだと思うとニヤニヤしてしまう。といってもこの1年くらいはずっと家で仕事をしていたので、いまいち解放感はないのだが。貸与PCが置きっぱなしになっていた机は、今では滅多に電気をつけられることのない部屋の片隅でスペースを持て余して所在なげにしている。一年後、復帰するときにはまたここにパソコンを置くことになるのだろうか。それとも毎朝バタバタと支度して出勤する日々が戻ってくる?

 

やりたいことリスト

だらだらしてばかりでもなんなので、休暇中にやりたいことリストを作った。大体4つのカテゴリに分け、箇条書きでメモノートに書きだす。

  • 【必須でやること】
  • 【新生児用おかいものリスト】
  • 【そうじ系】
  • 【おたのしみ系】

 

【必須でやること】は、入院時の持ち物をバッグに詰める、出生後の書類の準備、美容院に行っておく、とか。他にも、仕事をしているときには済ませにくかった平日の昼間の用事をいろいろ。住宅ローン関係で銀行に行くとか、運転免許の更新(たまたまタイミングが重なっていた)とかですね。あとは平日じゃなくてもできたけど、ついつい後回しにしていた確定申告、マイナポイントの申し込み、楽天モバイルUNLIMITEDの申し込み。年金保険料の控除も申請しないといけないのかと思ったけど、これはわたしが会社員で厚生年金の加入者だったので不要だった。

【そうじ系】は、おもに自分の被服関係の私物を整理。引っ越しのときにもだいぶ捨てたはずなのに、いざライフスタイルが変わるということがリアルになってくると、もっともっと物を減らさなくては…と焦る。7センチ以上のヒール靴はリユースに出して(もともとヒールそんなに履かないタイプだというのもある)、買ってから結局あまりつけてない安価なアクセサリー類も処分。服は消耗品なので、いずれこどもに汚されると思えば、汚されくたびれ切ってから捨ててもいいのかなと思ったけど、飾りがついていて扱いにくいものを中心にリユースや資源ごみに出した。それでも形のきれいなフレアスカートとか、実用性が低いなあと思いつつ手放せないものもあるのだが。

最後に【おたのしみ系】、やらねば!!みたいなことばっかりだと息が詰まるので適度に楽しいこともリスト化。産後だと余裕なくて読めなさそうな本を読むとか、パフェを食べるとか、SABONのスクラブを使い切るとか。前に記念ジュエリーを買いたいとかいう欲望をブログに書いてたことがあったけど、これは百貨店に行くのをためらっている内に余計に行きづらくなってしまった。コロナのこともあるし、着られる服が限られすぎていてお買い物に出る気分にならない。もう産後でもいいかなと思いはじめている。どうせ太って指のサイズも変わってるし、戻るかどうかもわからないし……。

と、いいつつ処分した分新しい靴が欲しくなってついフラットシューズを買ってしまった。革が柔らかくて歩きやすかったから…

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味覚の変化

太ったといえば、妊娠してから明らかに味覚が変わった。胎児にエネルギーを取られるため糖分を欲するようになるらしいとは聞いていたけど、前はこんなにめちゃくちゃ甘いもの好きじゃなかったのにな〜という気持ち。なんなら生クリーム食べると気持ち悪くなるから苦手とさえ思っていたのに、今は苺ショートケーキやシュークリームを毎日食べたいし、実際バウムクーヘンを家に常備している。ツイッターで、週数と妊婦さん自身の年齢が近いマタニティアカウントさんをリストでこっそり見ているのだけど、お役立ち情報や妊婦あるあるとともにコンビニやスタバ、ミスドなどの大手飲食チェーンの期間限定スイーツ情報などなどが定期的に流れてくるので、ますます食欲が刺激される。うっかり寝る前などに見てはいけない。

飲み物も変わった。以前は「白湯こそ至高」とばかりに朝起きて白湯、仕事中も白湯、食後に白湯、コーヒーを飲んだ後にも白湯、寝る前にも白湯を飲んできた。お通じもよくなるし、うっかりお腹を冷やしても白湯を飲めば治まった。それがいまはどうだろうか。白湯ってなんか味がなくてまずい(と感じるようになった)し、代謝が上がっているので、白湯を飲むと体が温まりすぎて冬でも暑い。夫に「白湯って味ないから飲みにくいね…」と言ったら「ようやく気づいたみたいやね」と微笑まれる。白湯信者だったわたしをずっとどんな目で見ていたのだろうか。そんなわけで最近は野菜ジュースやポカリスエットを飲んでいます。

 

妊婦の身体感覚

臨月を前にして、おなかが毎日明らかに重たくなる日々。お腹が風船みたいにでっかくなっているので、おふろに入るたびに「わあ!これがわたしのおなかですか!?」と毎日新鮮におどろいている。SNSのマタニティフォトで見たやつだ!みたいな驚き方。

といっても中身は病院で検診を受ける日しか見られないので、自分の体のあちこちの変化を観察して無事であることを推し量るしかない。つわりが落ち着いた妊娠4ヶ月後半〜7ヶ月はありがたいことにほんとうに平和で(トラブルはといえば母体の便秘と下痢と痔だけ)、おなかに人間のこどもが入っていることをちょっと忘れそうになるくらいでさえあった。いまでも寝てる間は忘れてるときはある。

胎動が始まって最初のころは、おなかの中で小さな魚が泳ぎ回っているような感覚で、少し動かない時間が長いような気がすると不安だった。胎児も眠っている間は動かないのはわかっていても、ちょっと動かない気がしたらすぐソファに横になって呼びかけたりして。それが、今はさほど意識しなくてもぐねぐね動いているのが分かるようになった。それどころか、「あれ?地震かな?」と思ったら揺れているのはお腹だったこともある。最初は下腹部だったのに、最近では肋骨の下あたりを蹴られるのがわかるようになり、「こんなに足が伸びたなんて、古川雄大さんみたいな長身脚長スタイルの子が生まれちゃったらどうしよう」などと無用な心配をしている。

たまに「男性は肉体的な変化がないから子どもを持つという実感が女性に比べて湧きにくい」みたいな意見を見かける。でも、肉体的変化が起こっている妊婦自身だって、実感がわいているのかと言われれば、なかなかそんなことはない。まだまだ先だと思っていた臨月はハッと気づけばもうすぐそこにまで迫っているのに、本当にわたしのところに赤ちゃんがきて大丈夫なのかなと未だに毎日おもっている。はちみつを食べすぎたプーさんよりでかいおなかを抱え、一日中内臓の中からドカドカ蹴られているくせに、ここに本当に人間のこどもがはいっているのか?ということが、自分で自分に言い聞かせなければ信じられない。一体どんな人が出てくるのだろうか。

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