耳をすますナツメグ

だれもみてない、ほら、いまのうち

体調が悪いときに思うこと

わたしは多分からだにほくろが多い方なのですが、
そのほくろのことがすごく気になったことがありました。

高三のころのことです。
当時受験生で、たしか十月頃。

文化祭・体育祭など高校生活に残った大きな行事も終え、
周りも受験一色となり、メンタル的に一番厳しかった時期です。
中途半端に時間がある分、おそらく受験直前よりも追いつめられていました。

そのころ私のからだには大きなほくろがみっつあって、
ひとつはおでこ、ひとつは背中、ひとつは足の裏でした。

ある日勉強を終えて眠る前、わたしは突然携帯電話(当時スマホなどなく、二つ折りの携帯でした)で
ほくろがもたらす病について調べ始めました。

きっかけはお風呂で体を洗っているとき、背中のほくろをひっかけてとても痛い思いをしたことでした。
背中のほくろは大きく出っ張っていて、そのとき鏡を見て初めて知ったのですが、
かたちはまるくなく、いびつにくしゃりとつぶれていました。

そのとき急に恐怖をおぼえたのです。
――これは、皮膚がんの始まりではないか。

結果からいうと、受験が落ち着いてから皮膚科に行き、ほくろは取ってもらったのですが
あのときと同じ「病への恐怖」はその後何度も繰り返すことになります。

口内炎がいつまでたっても治らないとき。
風邪が治った後も、数か月も止まらない咳。
そして今は全身の発疹です。

頭だけが妙に元気で、しかし無視できない異常がからだに起こったとき、
インターネットで症状を検索することにより、救いをそこに求めることを覚えてしまいました。

ところが、見出されるのはますます不安になるような仰々しい病名の数々と、
その病と自身の体の症状の一致です。
不安になればなるほど、その症状は進行していくようです。

結果として、真に不安を解消するためには実際に病院に足を運ぶしかないのですが
不思議なことに病院が開いている時間帯になると症状が落ち着き、
「病院に行くほどでもないかも…」という気分になるのです。

病は気から、ということなのでしょうか。
つまりは自ら不安を作り出し、こねくり回して肥大化させてしまうことこそが問題なのかもしれません。