耳をすますナツメグ

だれもみてない、ほら、いまのうち

2018年8月に読んだ本

近況

夏はきらいだが秋は好き。毎年8月の終わりくらいになるとZARAで挑戦的な服を買い、一度か二度しか着られないうちに本格的に寒くなってくる。平日は労働して週末は人と会い、 身だしなみと家の中をきちんと保つことに必死で毎日生きている。

 

8月の読書メーター

読んだ本の数:3冊
読んだページ数:935ページ 

 もったいないから少しずつ読もうと思っていたのに、するすると読んでしまった。淡々としていて、あるあるのような、ないないのような、私の住んでいる街とどこかで繋がっているような、いやもしくは別の位相にある街の話のような。ただ日記を書いて日常を非日常にする才能。
読了日:08月02日 著者:川上 弘美

 

 

 同じところにいて同じものを見てたはずなのに、一緒にいただれかが見ていたのは違うもので、それが怖くて悲しくて一緒に見たもののことを話すのを避けたこともあった。けれどそれこそが過去の表出なのだ。人は人の顔を造形ではなく表情で見ているのだという。ティーバッグのお茶は放っておくとカビが生える。子どもを産んで人をひとりこの世に発生さすのはなんだか怖い。整形前の写真と比較してあげつらう人もいるけど本人にとっては整形前後で顔が違うのは当たり前のことだ。なにが人としてだめと思うのかは単なる過去の蓄積にすぎない。
読了日:08月25日 著者:柴崎友香

 

ゴットハルト鉄道 (講談社文芸文庫)

ゴットハルト鉄道 (講談社文芸文庫)

 

 トンネルに入って行くように、薄暗い一階に降りていくように、橋を渡っていくように、自分の身体に手を差し入れてみるように、自身の内部にあるものを探ってみる好奇心。『無精卵』はナチの迫害やアンネ・フランクの日記が後世に残された経緯を彷彿とさせるが、男女が共生する中で男が息を詰まらせ女が抑圧される物語のようにも思う。居心地が良いとは言えないが読まずにはいられない快感のようなものがある。
読了日:08月26日 著者:多和田 葉子