耳をすますナツメグ

だれもみてない、ほら、いまのうち

なぜわたしは運動を習慣化できないのか。

今年も六割がすぎようとしている。毎年の目標に「運動を習慣化する」というものを掲げているわたしだが、これだけは何年経っても達成できる気配がない。いい加減なんとかしたいので、改めてできない理由を考え、自己反駁することで打開策を見つけてみたいと思う。

理由その1.たのしくない

やる気を出す最善の方法はとりあえず始めることである。運動についても同じで、自分のペースでやるだけならそれほど辛くもないということが始めてみれば分かるのだが、逆にすごく楽しいことも起こらない。よって「やりたい」という気持ちが湧いてこないのである。
そのような受け身の姿勢が悪いんじゃないですか、とわたしの中のスパルタコーチが言う。「あなたは他人が楽しませようとしてくれたときしか楽しもうとしないのだ」眼鏡のツルをクイッと押し上げながら彼は言う。
まあ、彼の言う通りである。たのしくないなら楽しくするよう工夫をするのが目標を掲げた人間の責任というものであろう。

わたしなら、運動しながらDVDを見るとか、本を読みながら運動するとかいう方法を考えれば良いのではないか。運動量を記録して達成感を覚えさせるというのも有効かもしれない。

理由その2.外に出るのが嫌

夏は暑い、冬は寒い、春は花粉、梅雨は雨、秋は人目が気になる。スパルタコーチを呼び出すまでもなく、我ながら堕落しきった思考回路にうんざりする。しかし快適で誰の目も気にせずにいられる家の中が最高すぎるのだ。

理由その3.目標が弱い

そもそもなぜ運動をしたいのか。それは健康維持のためである。別に筋肉ムキムキになりたいわけではない。わたしは仕事でも家でも座りっぱなしの毎日を送っており、このまま無運動人生を送ればある日突然骨が折れ、病がちの老後になるのではないかと心配しているのだ。
ポッキリ折れてそのままポックリいければ別に良いのだが、苦しみながら生きなければならなくなるようなことは、自分の努力で回避できるのなら回避したい。とはいえ直近では困っていないので、愚かな脳はそのような考えをすぐに忘れ、目の前の快楽を選んでしまうのである。
以前わたしの憧れの女優である花總まりさんがインスタグラムでトレーニング風景をアップしていたことがあり、美を維持するためにストイックなトレーニングを積んでいる姿勢にさらなる憧れを募らせたことがあった。花總さんの動画を毎日見ることを癖づければわたしも少しは運動をする気になるかもしれない。

理由その4.ジムに行きたくない

近所に24時間制のジムができたので入会したことがある。月々安くはない金額を支払うので、もったいない精神が働いて通うようになるのではないかと期待した。ところがわたしときたら、やがて「ジムには金を払ってでも行きたくない」という気持ちを芽生えさせるようになり挫折した。

ジムはムキムキの男性が多く、雰囲気的に居づらさもあった。運動中は各々が集中しているからいいのだが、移動中などに物珍し気に見られている気がする。そんなの自意識過剰なのはわかっているが、そもそも学生時代から運動慣れしていないせいで運動着姿の自分が滑稽に思え、必要以上に人目が気になってしまうのだ。そんな些細なことでも積み重なると面倒くささに繋がった。初めこそ家から徒歩数分のジムを「家の一部」と見なして意気揚々と通っていたのだが、やはり他人がいる場所は家ではなかった。

 

打開策

以上をぐだぐだと述べたことにより、分かってきたことがある。わたしの場合、家から出たくないことと人目を気にしてしまう性分、そしてモチベーションの低さが運動の障害になっているのだ。つまり、家で運動するしかない。

家ならDVDも見放題だし、本を読んだりゲームしながら運動しても良い。他人の目も気にしなくて良い。モチベーションの面を解決するため、壁に花總まりさんのポスターでも貼りたいところだが、持っていないので、やはり「エリザベート」のDVDを見ながら運動するのが良いであろう。

では、どんな運動をすればよいか。「家で運動」で検索し、わたしにもできそうなものを考えて、きょうからチャレンジしてみようと思う。

 

スクワット

スクワット。今すぐやってみて、一瞬良いように思われたが、このような強制力の弱い運動は続かない予感がびりびりする。というのは、いつどこでやるか、を決めておかなければ、やること自体を忘れてしまうのだ。テレビを見ながらやるというのがベストな気がするが、毎日見ているわけではないし、気づいたときだけやるというのでは、継続はいずれデクレシェンドになってしまうだろう。トイレに行った後に必ずやるとか、皿洗いとか歯磨きをしながらやるとかはどうだろう。とにかく、継続を忘れるまでの間だけでもやってみる価値はある。歯ブラシを喉に突きささないように気を付けよう。

エアロバイク

ながら運動の友とも言えるエアロバイク。まだジムに行けていた頃からおなじみの存在だ。ネットで2万円程度で購入できるようである。ジムの月額が約7500円だったことを考えれば、3か月で元が取れてしまう。デメリットはわたしの狭い部屋に置く場所がないことである。トランポリンなども同じ理由で不可である。

ステッパー

エアロバイクと同じく、ながら運動の友。機械の上に乗って交互に足を踏み踏みするあれである。しかも、部屋に置いてもエアロバイクほどの物理的圧迫感もない。これだ。これしかない。わたしのお気に入りのフランフランのラグとクッションで統一したインテリアの妨げになりそうなところは欠点だが、フランフランを置いているから部分的に可愛く見える気がしているだけで、それ以外はそれほどオシャレな部屋でもないので問題はないだろう。

バランスボール

これも良い気がする。安価で手軽。今使っている椅子を置き換えるだけでOK。怠惰なので「置き換えるだけ」と言われるとできそうな気がしてくる。
そういえば、演出家の小池修一郎さんも稽古場で座るときはバランスボールだと聞いたことがある。60代を迎えてもなお精力的に活動されている小池さんもバランスボールを使用されていると聞けば信憑性がある。

しかもこれまた安価で手に入りそうなところが良い。このシャンパゴールドカラーのものなどフランフランとも合いそうな気がする。

 

こだわり一番館 バランスボール 65cm シャンパンゴールド

こだわり一番館 バランスボール 65cm シャンパンゴールド

 

 

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さて、ここまで書いた文章を、PC上に放置していたのが約一か月前のことである。お察しの通り、その後のわたしはスクワットもしてないしエアロバイクもステッパーもバランスボールも買っていない。わたしが運動を続けられない理由、それは心の底から運動をしたい、運動が必要だと思っていないことだ。一か月もあったのに何ひとつ行動していないことがその証拠である。

とりあえず運動したいと思っていたことだけは思い出したので、今すぐスクワットをやります。