コラボキャンペーンとは
帝劇近くのショッピングビル「日比谷シャンテ」ではミュージカル 「エリザベート」のキャンペーンが催されている。
今までこうした販促イベントには関心を持ってこなかったけど、今回はちがう。参加している飲食店でキャンペーンメニューを食べると、ランダムで登場人物の衣装の一部をモチーフにしたコースターがもらえるというのだ。衣装好きのわたしは、これにすっかりはしゃいでしまった。
これに加え、規定の数店舗でお金を使ってスタンプを集めるとチケットファイル等がもらえる企画も同時に催されている。ついでにこれも一緒にやることにした。
1日目
いつものわたしなら東京へ行く新幹線はギリギリの時間の列車、朝ごはんはキオスクで適当に買ったパンとお茶などだが、今回は東京に着くとすぐにシャンテの飲食店へ行くため、パンは小さめにした。
到着すると、まずは梅梅の坦々麺を食べる。わたしは辛いものがけっこう好きなのだ。コラボメニューの一覧を見たときも、とりあえず1つは食べたいと思ったのが坦々麺だった。その名も「ルドルフの"闇が広がる"汁なし青山椒坦々麺」。
しかしこのメニューはあんまり辛くなかった。手前にルドルフのRの字があしらわれているあたりにコラボらしさがあらわれている。緑色の粉状のものが散らしてあるのは(広がる闇の表現?)皿の模様かと思ったらこれが青山椒だった。麺でぬぐうように絡め取って食べるとビリビリしびれる味覚が刺激される。
肝心のコースターはメニューが運ばれてくると同時に店員さんから裏返しで手渡される。ほんとにくれるんだ…と嬉しくなって思わずにやにやしてしまう。1枚目はトートだった。なんだか幸先が良い気がする。
食べ終わるや帝国劇場に向かい12時から昼公演。15時すぎ頃終了すると、劇場を出てまっすぐまたシャンテへ戻る。
今度は甘いものが食べたい気分だったのでチャヤの「禁じられた愛が始まる古代小麦のパンケーキ」。古代小麦という食材は初耳だったが、パンケーキとカントリーマアムの中間みたいな不思議な食感だった。フルーツがたくさん乗っているのもありがたい。今度はルドルフが出た。
(さっそくコースターを写り込ませるのを忘れる)
続いてもう少し軽めのものが食べたいと、1階のル・プチメックというパン屋さんへ行くが、既に完売の札が下がっている。おそらくここはコラボメニューの中で最も単価が安いので、すぐに売り切れてしまうのだ。朝、坦々麺の前にこちらに来るべきだった…と悔やむわたし。
とはいえお腹も膨れているので、一旦3階の本屋さんへ行きゆっくりする。この本屋さん、日比谷コテージは劇場関連書籍を扱っているだけでなく、いつも読みたい本と出会えるし、本の並べ方もフェアも独特のチャーミングさがあって大好きなのだ。しかも乙女心をくすぐる雑貨やミュージカル関連CDやDVDも扱っている。いくらでもうろうろできる。
ちなみに、この日比谷コテージ他3店舗で買い物をするとエリザベートのチケットファイルがもらえるため、ここで本を2冊買ってスタンプをもらう。
そんなことをしている間にお腹がすいてきた。帝劇の夜公演は17時からだが、わたしはこの回を観ないので、16時半にお店が空きはじめるのを狙って夜ご飯を食べに行くことにする。とはいえ既に完売の札が下がっている店も多い。とにかく米が食べたい気分だったので寿司清へ。
「"夜のボート"で海に出る…フランツ特製握りのセット」
寿司はうまいし、味噌汁が付いてくるのもありがたい。味噌汁と米を食べるとどうしてこんなに腹が安心するのだろうか…。おいしくいただきました。コースターはルキーニ。
夜は帝劇ではなく、新宿角座で19時からグーテンバーグ。劇場の雰囲気がミュージカルというよりお笑いライブのそれ。しかし歌がうまい。
このミュージカル自体は、ストーリーより細部の小ネタと一人で何十役もを演じ分け、笑わせ、フリートークまでこなしながらいかに客を楽しませるかという演者の挑戦に焦点が当たっているのだが、印刷機の発明を試みた人物を題材にしたミュージカルというのはふつうに観てみたいものだ。
2日目は計画的に
さてコースター集めの続き。
翌日は朝10時に販売開始するパン屋さんのブランマンジェをめざして日比谷へ。しかし、ねぼう。到着したのは10時半頃だった。店内イートインはすでにいっぱい。とはいえパン屋さんなので、ブランマンジェはテイクアウトすることができた。
もらったコースターはトート。かぶった……。
(写真を撮っているのを他人に見られるのが恥ずかしいという謎の価値観をもっているため、わたしの写真はつねに微妙である)
メニューの名は「"私だけに" とっておきブランマンジェ」。上に乗っているのはシシィお気に入りだったというスミレの花の砂糖漬けを意識しているのかな。
幸いまだ暑くなる前の時間帯だったので、外のベンチでいただくことにする。つるっとさっぱりしたミルクプリンのような味わいで、一瞬で食べ終わってしまう。これは胃袋的にもう一個いけるな…と一瞬思ったけれど、なんだかそれは禁じ手のような気がしたので、11時のオープンを待ち地下の飲食店街へ。
続いて麻布茶房の「闇の中から蜜めている…漆黒黒蜜寒天と選べるドリンク」
正直、この量で1200円(単品980円)…!?と驚いた。食い意地の張ったコメントをしてすみません。いや、多分本来ここはわたしのような庶民がおやつを食してすぐ出るような店ではなく、仕事の打ち合わせや親しい人とのおしゃべりのためにゆったりとした時を過ごしたい方々の優雅なお茶の時間を提供するお店なんでしょうね。
5回目にしてコースターはルキーニ。またしてもかぶった。このあたりでわたしは気付き始める、この戦いには無理があるのではないかと。
5種類ランダムのうち特定のコースターを引く確率
冷静に考えてみよう。5種類のコースターをひとりでランダムに引いていく場合、
1回目に「まだ持っていないコースターが出る確率」は5/5つまり100%。
2回連続で出る確率は5/5×4/5つまり80%。
3回連続は5/5×4/5×3/5=12/25つまり48%。
ここまではよい。3回まではほぼ半々の確率で「まだ持っていないコースター」を引き続けることができる。問題は次、すでに3種類のコースターを持っている時点での確率だ。
5/5×4/5×3/5×2/5=24/125つまり19.2%。*1
えっ、何故???急にがくっと確率が下がる気がする。全然納得できない…。考え方間違えてるのかな?高校のとき数学苦手だったし。
そういえば大学入試のときも二次試験で確率の問題が出て全然わからなかったので、泣きながら解答用紙の余白いっぱいに膨大な量の樹形図を書いたっけ。いやほんとうに、もしこれを数学の先生が偶然見かけることがあったらどこが間違ってるか教えて欲しいです。
そしてもし、計算が合ってるとしたらこれは仕掛けられた罠ではないか。だって軽い気持ちで3種類集めたら、なんかこのままあと2枚も集めたくなっちゃうじゃないですか。それなのにそのときには既にわたしたちは確率的泥沼にはまり込んでいるのだ……。
ラストスパート
この時点でわたしはまだ、ミュージカルファンたちの間に「交換」という文化があることを知らない。そして確率の計算をしたのも実は後になってからのことであり、薄々「これは集まらないんじゃないか…」と思いながらも現実を直視するのを避けている。
不安はよぎりながらも、迫ってくる昼公演の開演時間に合わせてどこでランチをするかで頭はいっぱい。しかも13時開演の日曜マチネ前は早めに来てランチするお客さんでどこも満席、各店舗の前には行列が形成されつつある。慌てたわたしは回転が早くて人があまり並んでいない坦々麺をリピートすることに。ちなみに今度はルドルフが出たけど、もはや写真は撮り忘れた。
そして終演後、すわって観ていただけなのになぜかお腹はすくもので、まっすぐSheのワッフルを食べに。ここは14時以降しか提供されないのだ。サクサクで軽めのワッフルでおいしい、ぺろりといただきました。
その後、チケットファイルをもらうために2店舗で1500円以上の買い物をしなければいけなかったので、いつも使っているUZUのアイライナーと前から気になってたライオンコーヒーを購入。
うろついて腹がこなれたところで、マンハッタンエクスプレスでハンガリー風カフェメニューを頼んでみたけど、ふつうにそばめしが出てきて何がハンガリー風なのかよくわからないまま写真を撮り忘れた。しかもまた出たのはトート。
やっぱりおかしい
やっぱりおかしい。ふつうに考えたら5種類のうち今欲しいのは2種類なのだから、確率は2/5なのでは?と思うのだが。
「わたしが今何を持っているか」と、「わたしが今から引くコースターの内容」とは物理的に無関係なはずなのに、確率的に考えるとその2つの事実は関係してくることになるのである。わからん。
あ、そうかわかった。「5種類のうちどれか1種類が出る確率」は1/5だけど、たとえば「5種類のうちフランツが出る確率」は3.84%になるのか。そうか。そうか…?だとしたらわたしは3回も3.84%の確率でトートにめぐりあっているということ…?本当にこの考え方合ってます…???
とにかくも、せっかくなのでかぶったものは保存用、観賞用、普段使い用として用途を分け、少しはコースターの本来の使い方をしてあげようと思います。
わたしが2日かけて自力で引いたコースターたち、闇が広がりすぎでは pic.twitter.com/5GjXTlYee5
— さなぎ (@sanasana0111) 2019年8月4日
つぶやいていたら交換のお声がけしてくださる方もいらしたけれど、今年はもう帝劇に行く予定がないので残念ながら交換できる機会がありません……。来年再演があったらなあ。
*1:ちなみに、すでに4種類集めたとき、残り1種類がランダムで出る確率は5/5×4/5×3/5×2/5×1/5=24/625つまり3.84%です。