耳をすますナツメグ

だれもみてない、ほら、いまのうち

人生の節目にジュエリーを買う、という欲望

もともとジュエリーには興味がなかった。結婚するまで3万円より大きい支払いなんて旅行や家賃ぐらいだったし、婚約指輪を買おうとなったときも、貴金属の指輪に全く価値を見出せず「それぐらいならいいソファを買いたい」と言い張った。

(よく考えると、5000〜15000円の舞台を何度も観劇していたら毎シーズン数万円のバッグを買ったり毎年十数万円の宝飾品を買っているのと同じぐらい使っていることになる、ということには目をつぶっている、わたしは貧乏性で算数的感覚がにぶいので、支出の合計額がどうであるかより一回の支払いが大きいことにびびってしまうのだ。)

ところが今、そんなわたしが記念にとジュエリーを買おうとしている。2020年は、私生活も仕事も含めてなんとなく「区切り」ができたなあと思った年だったから。といっても最近はうかつに百貨店に出かけるのも面倒…いや、こわくて、夜な夜なオンラインストアやジュエリー好きの人のブログを読んで欲だけを募らせる日々だけれど。

とはいえ、「記念」とは都合のいい言い訳みたいなもので、急にジュエリーが欲しくなった大きな理由は多分他にある。新型コロナウイルスの影響で別の欲が制限されたことだ。旅行も観劇も全然行けなくなってしまったし。そもそも所有欲はもともとあまりなかったけど、キラキラしたもの自体はずっと好きで、フィギュアスケートのヒラヒラキラキラした衣装を見ては「ホワァ〜」となり、グランドミュージカルの豪華なドレスを見ては「フワァ〜」と思っていた人間だ。美術館に展示された美しいものも素敵だけど、キラキラしたものは動く人間に纏われてこそよりいっそう輝く。それが今年は、楽しみにしていた舞台がどんどん無くなり、夏になって少しずつ再開されはしたものの、キラキラ欲は満たされていない。

とにかくキラキラしたものが見たい。オシャレよりも楽ちんさを重視した部屋着でパソコンの前に座り、一日中一歩も家を出ずにちまちまと仕事をするかたわら、わたしは時折自分のちいさなジュエリーボックスを開けた。はじめはいらないと言ったけれど、結局銀座で買った婚約指輪。そのとき一緒にいただいたパールの一粒ピアス。二十歳の記念に母がプレゼントしてくれた田崎のパール付ペンダント。夫が付き合って初めてのクリスマスにプレゼントしてくれたピンクゴールドのネックレス。雑然とした部屋の中、誰に見せるわけでもないのに手に取って眺めているだけで癒された。早くこれを身につけて出かける日が来ればいいのに。

 

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フェルメール真珠の首飾りの女》1662年頃、ベルリン絵画館蔵

ジュエリーを見て恍惚としたい、その欲を果たしている人のイメージはこれ。だれかに見られるからとかでなくても、部屋で一人きりの時間にも豊かな光の粒を見てうっとりしたい。

 

なんかこんなことをだらだら書いていたら今持っているものを愛でて十分満ち足りているような気持ちになってきたけど、ずっと家にいてインターネットをみていると新しいものへの欲は果てしなく湧いてくる。そして調べているとどんどん予算が上がっていってしまう。夜な夜なスマホを見ていると数十万くらいどーんと払えるような気がしてくるが、お店に行ったら気おされてしまって多分買えないんだろうな。そもそも実物を見てもないので(出かけるのが面倒、じゃなくって、抵抗があるから…)お店で実物を見たり店員さんと話したら気持ちが変わる可能性もある。婚約指輪のときも、品物がどうであるかよりも店員さんの接客で心が決まったようなところがあった。

 

 

ほしいものリスト

さて最後に、多分わたしの度胸では買えないな~と思いつつ、そのうち見るだけでも見に行きたいと思っているもの。試着だけならできるんだから……。

ショーメの指輪

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CHAUMET Liens Séduction 「リアン」コレクション セデュクシオン リング

 ショーメといえばナポレオンがジョゼフィーヌ后に贈った婚約指輪のジュエラー…というイメージがあり、庶民の自分に縁があるとさえ思ったことがなかったが、調べてみるとビーマイラブという蜂の巣をモチーフにしたジュエリーなどはエントリー価格で10万円くらいで買えるらしく、それくらいならちょっと頑張れば出せるかな?などと考えているうちにサイトを巡回しはじめ、この指輪に目が留まりました。リボンモチーフのころんとしたデザインがとにかくかわいい。これくらい太さがあったらもうすこし年を重ねても着けられるかなあと思ったり。

 

ミキモトのピアス

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MIKIMOTO Jeux de Rubans ピアス

リボン好きその2。プレゼントボックスのリボンみたいなデザインがとってもかわいいミキモトのピアスだけど、実はこれ30万円くらいする……。わりと可愛らしい雰囲気のデザインだしこの先何年もつけられるのかわからないのに30万円か……と思ってしまうが、たぶんこのリボンのふわっとした感じを加工するのにお金がかかるんだろうなあ。ちなみに2個セットのピアスでこの値段なら、指輪にすればもっと安いのでは?と思って見てみたらもっと高かった。なぜ?

 

Hirotakaのリング

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Hirotaka Contortionist Ring

「曲芸師」をイメージしてデザインされたというリング。地金のみでシンプルなように見えて遊び心のあるデザインが気になる~。ハイジュエリーと比べると値段もだいぶお手頃。でもHirotakaのジュエリーはモードな雰囲気で、あこがれるけど普段のわたしの服装のイメージとはちょっとちがうのかな~と思いつつ。

 

eteの指輪

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PT900 パール/ダイヤモンド リング「ノーブル」

eteのインスタグラムでショップスタッフさんがつけていたこの目みたいなデザインに一目ぼれし(商品紹介のどこにもはっきり書いてないけど、これはどう見ても目ですよね?ダイヤがまつげでパールが瞳の…)、eteだから1万円くらいから手に入るイメージだったのにこれはプラチナだしダイヤがいっぱいついているからなのか10万円ちかくして泣いた。でもかわいい。

 

他にも1~3万円でほしいアクセサリーはちょこちょこ目星をつけており、そのあたりは自分へのお誕生日プレゼントで買っちゃおうかな。いつもならちょっと街へお出かけしたついでにお店に寄ってパッと買えたりするけれど、アクセサリーをネットで買うのってわたしにとっては服を買うよりハードルが高い。まあ、どうせ身に着けて出かけられるのもまだまだ先なのだろうし、こんなふうに自分のためのお買い物に時間をかけていられるのも今のうちだと思うので、悩む時間ももう少し楽しみたい。

 

↓その後の顛末

 

sanasanagi.hatenablog.jp