耳をすますナツメグ

だれもみてない、ほら、いまのうち

日常ルーティーン

あまり親しくない人との雑談の話題に困ったとき、「毎日何時ごろに寝ていますか?」と聞いている。よく知らない人であっても、生活習慣について聞いてみるのはおもしろい。ナポレオンでもないのに毎日三時間しか寝ていない人、夜ごはんをたべながら眠ってしまうのが悩みだと話す人、毎日だらだらしないために入浴や就寝にも携帯のアラームを使って生活リズムをととのえている人……。

 

わたしは、平日は大体1時半に消灯する。ベッドに入るのは0時半。枕元にある無印良品の「壁にかけられるライト」で読書をして、眠くなってきたらライトを消すのだ。この時間を確保するため、23時半には入浴して髪を乾かす。

口を開けて寝るので、眠る前には必ず白湯を飲み、水分補給をしておく。沸かした湯はサーモスの保温ポットに入れておく。すると、翌朝起きてカラカラになった喉を温かい湯で潤すことができる。

朝は6時に一度起きて夫を送り出す。本当にただ、送り出すだけで、朝食をつくったりするわけでもないのだが。それでも、毎朝顔を見たいので、一度起きて挨拶をする。

そのあとは二度寝。目覚ましアラームは7:30にかけているが、真の起床時刻は7:40。ここからは分刻みによる出勤のたたかいが始まる。

最近はマスクをしているという油断もあって、化粧は日焼け止めと下地とチーク、そしてアイライン、眉毛のみという手抜き状態。先日仕事ではじめて徹夜した日からは本当に全てがどうでもよくなり、服も髪も適当になってきた。一週間に2回、同じ服を着ていることすらある。

8:10〜8:16の間に家を出る。駅までは自転車なので、本人の頑張り次第では、ちょっとゆっくりめに朝食のパンを食べても間に合うことがある。電車の中ではノイズキャンセリングイヤホンを耳に差し込み、目を閉じてすし詰めに耐える。

最近のお気に入りミュージックはKing Gnu。ときどきラジオを聴いていることもある。月曜日の朝は井上芳雄さんのラジオと決めている。眠くて耐えられない朝は銀シャリのラジオ。radikoなら時間に関係なく聴ける。ただし絶対に笑ってしまうのでマスクは必須。

9時に始業して、最近は20時頃まで働いている。座りっぱなしの仕事なのは前からなのだが、今の職場は椅子が古いのと、トラブル対応による緊張状態が続いているので腰がピシピシいっている。

昼休みは12時から一時間。前の晩に詰めておいたお弁当を食べ、cakesの記事を読むのが日課。お気に入りの連載は牧村朝子さんと渡辺由佳里さん、伊藤聡さん。牧村さんの文章は、同性愛者の女性であるということをアイキャッチに使っていながらも、結局は人間関係も性別認識も個と個の向き合い方である、という一貫した姿勢がとても素敵。自分もそうありたいと思う。渡辺由佳里さんはアメリカ生活のエッセイだが、個人的なことも社会的なことも冷静で公正な視点から、それでいてきっちりとご自分の立場を明らかにする文章の巧みさに憧れる。伊藤聡さんの記事は不定期更新の映画レビュー。この方のレビューを読むとつい観に行きたくなってしまうし、ハズレがない。cakesは以前連載していた中村綾花さんのパリ生活エッセイや、自称元メンヘラ・スイスイさんの重くて熱いお悩み相談も好きだったので、終わってしまって残念だった。

さて、帰宅時の電車はSNSか読書タイム。大阪メトロは騒音やアナウンスの音量が大きくて騒々しいので、ノイズキャンセリングイヤホンは必須。

帰宅後は夫が用意してくれたご飯を食べて、ソファでごろごろしながらテレビを見る。

お気に入りの番組はテレビ東京の「家、ついてっていいですか?」。他人の日常や冷蔵庫の中身を垣間見るのが大好きなわたしの趣味にマッチしているのはいわずもがな、深夜まで家にいてがんがん突っ込んだことを質問していくインタビュアーさんに、市井の人々が思いがけず自分の人生の物語を語りはじめる。ポール・オースターの『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』や小川洋子さんの『人質の朗読会』ではないが、誰もが語るべき物語を持っているのかもしれない。たとえ残酷な人生に直面しても、その方なりのやり方で立ちあがり、乗り越えていこうとする姿に、思いがけず涙してしまうことも多い。

似たようなコンセプトでNHKの「ドキュメント72時間」も好きだ。こちらは人が集まるスポット(ちょっとした観光地や下町の飲食店など)軸に72時間の定点観測を行い、そこを訪れた人々にインタビューをするという番組。「家〜」ほどの深入りはせず、その場にたまたま居合わせた人に話を聞くというだけの距離感。にもかかわらず、インタビューが上手いのか、個人の想いや考えの深い部分に一瞬触れては、想像の余地を残しながら去っていく。街中ですれちがうだけの人にも、一人ずつそれぞれの背景があり、来し方があるのだと思わされる。

 

お皿を洗い、夫がつくってくれたおかずや冷凍食品を、夜のうちにお弁当に詰めて冷蔵庫に入れておく。夫は一足先に入浴して寝るので、一人の時間にSNSをチェックしたり、本棚の前に座って本を眺めたりして過ごすのが至福の時間である。インターネットで他人の本棚の画像を見ていると本が読みたくなってくるので、急いで入浴し、布団に入る。