4月は中旬に資格試験を受けるための勉強をしていたり、残業を30時間くらいしていたわりには、量を読めた方だと思う。
GWはハムレットとスヌーピーの観劇予定がある。ふり幅がすごいがどちらもものすごく楽しみだ。
読んだ本の数:7
読んだページ数:2071
ぽんぽんと飛び出してくるハムレットの名言の数々は拾い集めたくもなるほどです。原文を読んだことはありませんが、解説を読めば翻訳者の思想が如実に現れた訳文なのだと分かります。近く観劇の予定があるので、恆存のシェイクスピア作劇論は大変面白く読みました。ハムレットという人物像を掘り下げるよりも、その場を見せる「役」としての効果を観客に感じさせること。ただそうであっても、個人的にはやはりオフィーリアのことをハムレットが本当にはどう思っていたのか気になってしまいますけれど。
読了日:04月30日 著者:ウィリアム シェイクスピア
愛情も過ぎれば憎しみに似てしまうものでしょうか。文字通り嵐に押し流されるような勢いで読み終わりました。登場人物のほとんど誰にも共感できないままでしたが、著者にとってもそれは折り込み済みで、語り手のエレンはまぎれもなく本作のMVP。彼女がいなければきっと読者は置いてけぼりのまま、キャシーもヘアトンも悪魔のような成長を遂げ、二つのお屋敷はとっくに廃墟となっていたに違いありません。人ごとだから面白がれるものの、ヒースクリフが心にどんな虚無を抱えたままこの世を去ったのかと考えると一抹の寂しさが過ぎります。
読了日:04月27日 著者:エミリー ブロンテ
直截的な物言いが評価される集団で生活していると、だんだんと自分の中にあるなにかが痩せていくような気がしていました。日常に散らばっているフックのようなものを見逃さずにいれば、たぐり寄せた思索の糸が思わぬ場所に連れて行ってくれるものだと気づかされます。そして、編み上げる技術の巧みさ。「湯煎」をするように、本質的なものを何層にも包んで差し出す表現に触れるのは心地よく、そして身が引き締まる思いです。
読了日:04月22日 著者:堀江 敏幸
嵐が丘(上) (岩波文庫)読了日:04月21日 著者:エミリー・ブロンテ
若い読者のための世界史(上) - 原始から現代まで (中公文庫)の感想
学生のとき真面目に勉強していなかったせいで、いいかげん趣味に支障を来すようになってきた、ということで、物語のようなやさしい語り口調のこちらを。世界史と銘打ってはいるものの、著者がヨーロッパ人なので視点がやや偏っている気がするのは、まあ想定内です。何よりも読みやすく、断片的な知識が頭の中で像を結ぶのが面白くて仕方がない。下巻へつづく。
読了日:04月17日 著者:エルンスト・H・ゴンブリッチ
シェイクスピア全集 (2) ロミオとジュリエット (ちくま文庫)の感想
乳母が世俗的なおばちゃんなのは想像できたが、マキューシオも次々と品のない下ネタをとばしてくるのには閉口した。とはいえそうして作品に色を添えてくれたからこそ死にぎわになってもペラペラ喋るシーンがいっそう痛々しく哀しい。一方ティボルトは台詞が少なく、もしかすると舞台では動きで見せるような想定がされていたのか。パリスは、実はこの話に出てくる若者の中で一番真っ当な行動を取ったのに、ジュリエットにとことん拒絶されるせいでなんだか滑稽な印象となった挙句、最後にはロミオの見せ場を作るために死なねばならず、可哀想だった。
読了日:04月13日 著者:W. シェイクスピア
「情欲をいだいて女を見る者は、心の中ですでに姦淫をしたのである」とまで思っているわけではないにせよ、欲望をもって異性をみるときに反射的に浮かぶ罪悪感と、良心が行動に伴わない苦悩には身に覚えがありすぎて痛いほどです。自分がなにをしているか、はっきりと分かっていながら、何か悪魔的な力に動かされて止められない嫌悪。情熱的な愛は価値の高いものだと思いたい。魅力的な異性を追うのは人として当然だと開き直りたい。だけどそうできないのは、信じたいと思っているものがあるからです。
読了日:04月01日 著者:トルストイ