耳をすますナツメグ

だれもみてない、ほら、いまのうち

劇場

舞台「オデッサ」感想

漫才にしてもコメディにしても、わたしはテレビでみるより絶対劇場という箱の中で観る方が没入して思い切り笑えて満足感が高い、と思っているのですが、まさにそれを実感した舞台でした。観客の笑いに包まれて一体となった笑いがまた渦となり、受け止めた演…

2024年1月に読んだ本とか

最近のようす お正月休みが終わって仕事が始まったとたん読書がはかどらなくなり、風邪をひいた。身体に悪い労働。でも休み中うじうじ悩んでいたことがスッキリしたので「やることがある」ということそのものは、わたしにとってはいいのかもしれない。 1月中…

2023年9〜10月に読んだ本とか

この2ヶ月はしょうもない悩み事&検索に時間を溶かしていて(人生に関わったり心が重くなるような種のものでは全然ありません、念のため)、全然本を読んでなかった……。なんかそんなタイミングでした。この隔月の記事もスキップしようかな〜とも思ったけど…

ミュージカル「アナスタシア」2023年10月@梅田芸術劇場メインホール

ねんがんのアナスタシアを観ました。コロナ 禍初期の頃に持っていたチケットが消えてしまっていたのだ……。山本耕史のグレブ見たかったなあ…… 大変うるわしい演出と音楽に満足な観劇であったのですが、ストーリーとしてはこれが初見とするのではなく、事前に…

スリル・ミー 私:尾上松也/彼:廣瀬友祐 @サンケイホールブリーゼ

いつものことながら、以下ネタバレ記述がある感想文となりますので、未見の方はお読みにならないことをおすすめします。 youtu.be 今回のスリル・ミーは観られるとしたら1回だけと思っていて、前方席が当たった回で観ました。間近で観る廣瀬彼、視線の圧がす…

「ある馬の物語」2023.07.23. @兵庫県立芸術文化センター中ホール

馬のようにふるまう人が、人のようにふるまう馬のように見えてくる。たった4本のサックスで奏でられる音楽が、まるで馬のいななきのように聴こえてくる。ダンスが「馬というもの」の表現であると同時に、ひとりひとりの個性や性質をも表しているのも楽しい…

NTLive オセロー(2023)

わたしはシェイクスピアのなかではオセローが結構好きだったということを思い出した。なぜかというとストーリーがわかりやすいからだ。とにかく邪悪な黒幕がひとりいて、その人物の動きを追っていると話がわかる。しかもその悪人が自分のたくらみを観客に向…

『ラビット・ホール』@森ノ宮ピロティホール

2歳のこどもがお昼寝に入ったのを見届けてから家を出る。森ノ宮ピロティホールへ、『ラビット・ホール』。 前情報をあまり調べていなくて、こういう題材だと知らずに観に行ったのだけれど、扱っているものごとの苦しさの一方で、良いものを観た満足感に包ま…

ミュージカル「マリー・キュリー」感想

ミュージカル「マリー・キュリー」を観てきた。 ※以下、いつものように詳細な内容に触れる記述になるため未見の方は読むことをおすすめしません mariecurie-musical.jp 全てが最後のクライマックスに向けてのために存在しているような話だったなーと思う。屋…

2023年1~2月に読んだ本とか

読んだ本 シャーリイ・ジャクスン『くじ』 くじ (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者:シャーリイ・ジャクスン 早川書房 Amazon シャーリイ・ジャクスンは心の奥にひそむ孤独感や邪悪さを淡々と(まるでよろこばしいことでもあるかのように)書く筆致が好きで少し…

キンキーブーツ2022

半年ぶりくらいで劇場に訪れて、この作品が大変広く深く愛されているのだという熱気をひしひしと感じた。 あたたかい愛に満ちた素晴らしい感想がすでに世の中にたくさんあるので、それを読むだけでも満足してしまって、改めて何か書こうとしてもうまく書けな…

ミュージカル「蜘蛛女のキス」@シアタードラマシティ

原作を読んだときには、牢獄につながれているモリーナが映画のストーリーを語る二重構造にが小説を読む喜びを味わわせてくれたという記憶がある『蜘蛛女のキス』。 そのあたりの構成が、舞台は舞台ならではの演出で表現されていて、そのままモリーナという人…

2020観劇の思い出まとめ

世の中のようすも、自分自身の状況も、こんなふうになっているとは思っていなかった2020年。常に目標とかビジョンを掲げて生きているわけではないけど、少なくとも観劇に関してはもっとたくさん楽しめているつもりではあったなあ。 感想をブログに書く元気も…

エリザベート観たい

今日久々の通勤だったので(電車めっちゃこんでてびっくりした)、通勤時間って何してたんだっけ?と思ったらどうせずっと家だし楽天モバイルのデータ量いちばん低いプランに変えたの忘れててラジオも聴けないし本も持ってなかったのでそうだ、音楽を聴こう…

2019年観劇の思い出まとめ

年が明け、じつは2020年の観劇ぞめもしてしまいましたけど、去年の分をまとめることにします。 なお1月分は去年の後半と一緒にまとめたので省略。 2月11日昼「罪と罰」@森ノ宮ピロティホール 一発目から残念な話だが、記憶がない。キリスト教文化が背景に…

『月の獣』2019年12月28日 兵庫県立文化センター中ホール

今年どんなお芝居を見たかな?と振り返っていたら、最後の最後で、いま出会えてよかったと心から言える作品に出会ってしまった。 第一次大戦期のトルコによるアルメニア人迫害という史実を題材に、民族虐殺を生き延びアメリカではじめて対面したあるアルメニ…

一人旅には向かない人間

年に一度ぐらい海外の街をひとりでうろついているのだが、事前に調べていた行きたい場所にすんなりと着けることはまずない。地図を見て歩いては方向を間違え、他人に尋ねて歩いては曲がり角を間違える。買いものを楽しもうとして行ったはずが、目的はいつの…

ストーリー・オブ・マイ・ライフ 10月5日

以下の文章は物語の核心に触れる内容を含みますので、未見の方の閲覧はご注意ください。

「ノートルダムの鐘」2019年9月28日京都劇場

鐘が京都劇場に帰ってきてから、いつか行こうと思っていた。わたしはアラン・メンケンの中でも『美女と野獣』と一・二を争う勢いでノートルダムの音楽が好きで、オープニングのクワイヤからぞくぞくするくらい興奮するし、もう各場面の曲だけでも泣いてしま…

DULL-COLORED POP 福島三部作 第一部『1961年:夜に昇る太陽』

1961年、それは福島への原子力発電所の誘致が決定された年。福島県双葉町の住民たちが立ちのきを決めるまでの数日間を描き、原発誘致に関わる人びとの葛藤を浮き彫りにする。 戦後まだたったの16年、大戦の記憶も生々しい。立ち退き依頼のため現地の村を訪れ…

エリザベートってこんな話だったのかな2019

この物語において幾度も語られる「自由」ということば、その対極にあるのが「生」なら自由は死と読み替えることができるのかもしれない。とするなら、自由を求めたとされるエリザベートをつなぎとめているのは、自由の対局にある地上の愛だと仮定する。 地上…

日比谷シャンテのエリザベートコースターを集める日記

コラボキャンペーンとは 帝劇近くのショッピングビル「日比谷シャンテ」ではミュージカル 「エリザベート」のキャンペーンが催されている。 今までこうした販促イベントには関心を持ってこなかったけど、今回はちがう。参加している飲食店でキャンペーンメニ…

ミュージカル「エリザベート」2019年6月29日夜 帝国劇場

今年のエリザベートの1回目はWEBサービス「おけぴ」会員限定の観劇会で拝見。この観劇会に参加すると細かいトリビアや人物相関図が書かれた観劇まっぷがもらえる。これに登場しているのが今回は成河さんで、ディズニー映画「アラジン」におけるジーニーのよ…

BLUE/ORANGE 4月27日夜

舞台はロンドン、精神病院の一室でたった1日の間に繰り広げられる三人劇。登場人物は病院患者のクリス、若く理想に燃える担当医師のブルース、そしてその上司であるロバート。 演劇情報には相変わらず詳しくなっていかないわたしだが、成河さんが出ている作…

「ライムライト」シアタードラマシティ

一幕のとちゅうから、石丸さんのちょっとした表情や、たたずまいを見るだけで涙があふれてどうしようもなかった。視線の落とし方、背中の曲げ方、歩き方、おどけた姿なのに物悲しいところ……。どうしてこんなにも、わたしたちがあらがえないなにか大きなもの…

ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」2019感想

「ロミオ&ジュリエット」の思い出 数年おきに同じ演出家の手によりキャストやスタッフを変えて何度も再演されているミュージカル版。 わたしは2013年、初めて自分のお金でミュージカルのチケットを買ってロミオとジュリエットを観に行き、そこで王子様を見…

2018年7月~2019年1月 観劇の思い出

2018年上半期版を書いたので下半期もやろうと思っていたら、年末に東京から関西方面に引っ越したことを機に生活ががらっと変わり、ブログを書くどころではなかった(チケットがあったので梅芸には行ったけど……)。ようやく落ち着いてきたのでまとめておきま…

ミュージカル〈マリー・アントワネット〉1月14日昼公演公演 感想

これだけ何度も同じ内容の劇を観に行っていると感動して泣くこともなくなってくるのかな……と思いきや、千秋楽の前公演になってもわたしは泣いていた。しかも舞台からはるか遠く3階席の端っこで。おまけに舞台の半分は見切れているというのに。 なんだか今日…

12月15日〈スリル・ミー〉感想

以下の文章はネタバレへの配慮なく、物語の核心に触れる言及を行っております。未見の方が読まれた場合、今後この作品をご覧になる際の「初見ならではの楽しみ」が阻害される恐れがありますので、避けていただくことをおすすめいたします。

ミュージカル〈マリー・アントワネット〉1月12日夜公演 感想

本日のキャスト(敬称略)マリー・アントワネット:花總まりマルグリット・アルノー:昆夏美フェルセン伯爵:古川雄大ルイ16世:佐藤隆紀